「部活問題」を考える

「部活問題」「ブラック部活」を中心に、現役高校教師Kが学校現場の問題点を考えていくブログです。

「専門外の仕事なんて当り前!」という批判への意見

ブラック部活、部活問題の話題に対しては 

 

 「学校の先生になったのだから部活動指導は当たり前だ」

 「そんなことはみんなやっている」

 「公務員なんだからそんなことで文句言うな」

 

 等々の意見もあろう。

 

 確かに学校の先生に部顧問はつきものだが、部活動はあくまで「教育課程外の活動」である。よって部顧問をすることに手当*は出ない。教師は皆「ボランティアで」部顧問を引き受けている。私たちは教科指導に対して教員免許を交付されている。スポーツの指導は本来の業務ではないと考えるのが普通だろう。

 体育以外の先生にとって、スポーツ指導は専門外なのだ。体育学部でもない限り、大学・短大でスポーツ指導に関する授業は必須ではないし、そもそも開講すらされていないところが多いだろう。

 *休日の指導は4時間以上なら手当がつく。当時は4時間以上1200円だった。時給換算300円である。最低賃金の半分以下だ。8時間練習に付き添ったら1600円だった。時給200円である。本来の業務ではないから「給料(時給)」ではなくあくまで「手当」なのだろうけど。

 

 「技術職を希望して入社したけど、営業部に回されるなんて話はよくあることだ。専門外のこともやるのが社会では当り前だ。」

 

 という意見もよく目にする。確かにその通りだ。教師に限らず、自分の専門ばかりをやっていれば良い仕事なんてそうそうない。しかし、技術職と営業職の違い以上に部活動指導が決定的に違うのは、

(1)半強制的に

(2)本来の業務を終えた勤務時間外に

(3)「無報酬」で

(4)スポーツの指導を行う

点だと考える。

 これに付け加えるとしたら

(5)経験したことないスポーツを指導することもある

だろう。

 

 「部活動指導を1日の業務として専門的に行う。それに対しての報酬をもらう。」のであれば冒頭の批判も当てはまるだろう。しかしそうではない。その営業職の仕事がおろそかになるくらいの「スポーツ指導」を1日の勤務終了後と休日に課されるのだ。「希望していない営業職に回された」ということと同じレベルの話ではない。

 

 「希望しない部署に回された」というよりも、朝八時から五時まで営業(もしくはエンジニア)の仕事を集中して行った後にスポーツの指導をする、と仮定するのが正しいだろう。ほぼ毎日である。土日も休めない。道具代、遠征費は自分持ちである。しかもスポーツ活動は選手に怪我の危険性が伴う。学校に限らず法令順守が叫ばれる昨今、競技経験も専門的知識もない先生を顧問にさせ、長時間かつ長期間練習指導をさせている現状は果たして許されるのだろうか?

 

 では、競技経験があればどんな先生でも指導者として適任だろうか?中高生のスポーツ大会を見たことがある方は分かるだろうが、同じスポーツの選手といってもそのレベルは千差万別*である。競技経験があることは「指導ができる」と必ずしもイコールではない。*これはもちろん、優秀な選手の方が優秀な監督になれる、ということを言いたいのではなく「競技をやっていた」にもその人によって大きな差がある、ということ。

 

 そもそも部活動の顧問は結構な割合で「自分の競技経験とは関係なく」負担させられる。そうそう都合よく自分の経験スポーツにぴったりと部顧問が当たるものではない。高校時代はラグビーに明け暮れた先生が、テニス部を担当させられるなんてことはざらにある。

 

 そうまでしなければいけない現状が学校現場にはある。

 そうならざるを得ない理由もある。

 だが、その歪みが教員に過重負担となってのしかかっている。