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「部活問題」を考える

「部活問題」「ブラック部活」を中心に、現役高校教師Kが学校現場の問題点を考えていくブログです。

部活動の問題点その2「教師の教育観の変化(劣化)」

ブラック部活or部活問題への考察

 前回は、時間の観点から授業のレベルが向上しない問題点を指摘した。

 今回は「教師の教育観」に問題点が生じる可能性を指摘したい。

 

 学習指導は結果が出るのに時間が掛かる。

 今日たくさん問題を解いたからといって

 成績はそうすぐには上がらない。

 受験という勝負は3年間に1度しかなく、

 目標としては遠すぎるしやり直しも効かない。

 

 それに対して部活動(特にスポーツ)は

 年に数回公式大会があり練習の成果が分かりやすい。

 

 模試で何点取ったら勝ち、負けなんて基準は設けにくいが

 スポーツは試合に勝つ、負けるという明確な評価基準がある。

 学習よりは上達を早く実感できることが多い。

 

 私が部活動指導に熱中していた時は、

 この比較的早く得られる練習の成果に手応え・やりがいを感じていた。

 

 また、部活動の人間関係(教師対生徒、生徒対生徒)は

 どうしても「体育会系のノリ」になりやすく、

 教師としては生徒の指導がしやすい。

 簡単に言うと「生徒が指導を受け入れてくれやすい」のだ。

 

 自分の好きなスポーツを指導してくれ

 選手の起用、練習計画などを立ててくれる

 部顧問は部員にとっては絶対的存在である。

 

 規律保持やチームへの貢献が部の維持には絶対的に必要なので

 その中心的存在である部顧問は部員に(ある意味)服従的な態度を

 求めがちであるし、生徒もそれを受け入れやすい。

 

 教室では反抗的な生徒も、部活動では(表面的であっても)

 部顧問に従順な態度をとる。

 部顧問に逆らって良いことはあまりない。

 試合に起用してもらえなくなるし、

 部から追い出されたら好きなスポーツをできなくなる。

 

 そして毎日数時間、部顧問と部員が向き合えば

 密接な心のつながりが構築される。

 

 部活動指導には教科指導に

 負けるとも劣らないやりがいが存在する。

 そして、教科指導だけでは構築できない生徒との人間関係を

 作り上げることができる。

 

 そこに教師の教育観の変化(劣化)が生まれてきやすいと私は思う。

 

 

 まず一つ目は「自分は部活動を指導するために教師になった」というものだ。

 教師になって以来数え切れない数の先輩たちがこの言葉を口にするのを聞いてきた。

 その動機が悪いとはまでは言わないが、部活動は午後4時・5時以降の活動である。

 

 生徒たちは概ね9時から4時くらいまで正規のカリキュラムを学習する。

 我々はその正規のカリキュラムに対して教員免許を発行されているのではないのか?

 部活動はあくまでそのあとの「自主的な活動」であるはずだ。

 

 「部活動指導一筋でやってきた」と自慢(謙遜?)する先生はとても多いし、「立派な人だなあ」とも思うが、例えば一般企業の会社員が「私は5時以降の社内スポーツクラブのために社に勤めてきた」と言うことは立派なことと評価されるのか?

 

 このような「部活動命」の先生には

 「うちの生徒に勉強させてもタカが知れている。それよりも部活動を一生懸命させた方がよほどいい。」

 と思い込んでいる部顧問もいる。

 これも「教育観の変化(劣化)」の一つだと思う。

 恥ずかしながら昔の私もそうだった。

 

 部活動で接する生徒は数十人に対して

 授業で接する生徒は200人くらいはいた。

 部活動よりもはるかに多数の生徒に対して

 そのようなメンタリティと準備で

 授業を行ってしまった当時の生徒には

 本当に申し訳ない気持ちでいっぱいである。

 

 教師が「5時から男(女)」になってしまえば

 教育のレベルが落ちるのは当然である。

 そのような学校では、何しろ同僚間の話題が「部活」しかない。

 どうやって学力を上げる、とか

 どうやって授業をうまくやる、といった話題はほとんど出てこない。

 誰も「そんなこと」には興味を持っていないのだ。

 定期テストも前日に慌てて仕上げる、といった体たらくである。

 もちろんその質は低い。しつこいが、私自身がそうだった。

 授業がうまくいかないことは気にはなっていたが、

 その分部活動が充実していたので気持ちのバランスが取れていたのだ。

 

 言い訳になるが、自分が自由に使える時間のかなりを部活動に取られているのだ。

 人生のかなりの時間を費やしたものを大事に思えてしまうのは当然のことである。

 学習指導よりも部活動指導の方が大事だと思い、疑っていなかった。

 

 

 部活動のもたらすメリットが大きいが故に

 肝心の「学習指導」がおろそかになっている

 先生や学校は多いのではないか。

 私の知る限りは「そんな先生と学校ばっかり」である。