読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「部活問題」を考える

「部活問題」「ブラック部活」を中心に、現役高校教師Kが学校現場の問題点を考えていくブログです。

部活動指導を「適切」に行っている若手教員の例

前回は部活動指導(だけではないが)に追われて

授業どころではなくなっている先生の例を紹介した。

今回は「適切」に部活動指導を行いながら

教科指導力もしっかりと身につけている

若手の話。

 

私が現在の学校に赴任した時、

隣の席の新規採用3年目の先生が 

私が授業の準備を念入りにしているのを見て

「授業って何をそんなに準備する必要があるんですか?」

と聞いてきた。

 

正直驚かなかった。

1に部活、2に部活、3・4も部活で5に事務仕事

という学校ばかりを経験してきたから。

学校現場の多くは「部活動命」である。

 

彼女も新規採用されて以来、

一通りの初任者研修は受けたものの

日々の事務仕事で手一杯。

さらに部活動の指導につきっきりになり(させられ)、

他のベテランも事務仕事と連日の無駄な会議で多忙ゆえ

新人を指導することなくほったらかしていたため

授業の工夫をする、という発想を持つことなく2年を過ごしていた。

 

だが、彼女は悪くない。

 学習指導に加えて部活動指導という

二つの専門的な仕事を無理強いすれば

どちらかが疎かになるものだ。

この学校も「文武両道」をモットーに

「部活動活性化」を目指しているためそれに忠実に従っていたにすぎない。

土日もずっと部活動につきっきりの「熱心な」先生だ。

学校としての優先順位が「部活動ファースト」

なのだから彼女のような先生が多くなるのは当たり前だ。

 

彼女は、最初は私が作った教材などをもらうだけだったのだが、

教材を工夫すると授業がうまくいくことに感動したようで、

そのうち「自分も教材作りができるようになりたい」と言って

積極的に手伝ってくれるようになった。

きちんと準備すれば生徒が寝たりせず、

生徒も先生も楽しく学習が進むことに気づいたのだろう。

 

彼女には、

部活動と一定の距離感を持ち

生み出した時間を使って授業の工夫をするようアドバイスした。

最初はうまくタイムマネジメントできなかったようだが、

次第に、土日のいずれかはオフにしたり、

週の中日に休養日を設けるようになった。

部活動に時間と労力を取られて、

遅れがちだった仕事もかなり早くなった。

 

休日にある自主的な研修にも参加したりして

スキルアップを図ることにもチャレンジしだした。

 

勤務時間外の労働が完全になくなったわけではないが

学級経営、授業、部活動の指導を良いバランスで行っている。

1年で教材作りの大半を任せられるようになり、

次のステップへ進み始めた。

授業のレベルも上がって、生徒の成績が向上しつつある。

 

最初は「もっと部活したい」と

不満を持った部員もいたようだ。

しかし、今年から部員が増え地区大会を勝ち上がって 

県大会へ出場するなどチームの目標は達成しつつある。

 

限られた時間で練習に取り組むため

チームの規律も高いレベルで守られている。

学習時間を確保しているから部員は皆成績も良い。

部員で授業中に寝る者は一人もいない。

 

学校全体は相変わらず「部活動最優先主義」だが

その雰囲気下にあっても個人レベルで頑張っている。

 

部活動を「本来あるべき姿」に戻し

適切な距離感での指導を行えば

このように教師と生徒は変わるのか、と驚いた。

 

悩んでいらっしゃる先生も多いことと思う。

現状変更にはかなりの労力を必要とするだろうが、

休養日の設定や練習時間の削減など

自分が顧問であることを最大限利用して

イニシアチブをとっていくことで

取り組める改善策もある。

 

諦める前に一歩踏み出しましょう。

一気に変わることはなくても

少しずつなら現状変更できることがあるはず。

同僚に負けない、質の高い仕事をしながら

 自分の人生を少しずつ取り戻していきましょう。