「部活問題」を考える

「部活問題」「ブラック部活」を中心に、現役高校教師Kが学校現場の問題点を考えていくブログです。

「学校の先生なんだから部活動指導は当り前!」に対する反論

部活動問題を取り上げた記事などに寄せられるコメントなどで

必ず目にするのが

 

「学校の先生なんだから部活動指導するのは当り前!」

 

という意見だ。根底にあるのは「学校の先生のくせに甘えるな」と

いう情緒的な意見なのだろうが、労働者としての権利を主張することすら

否定しようという社会の風潮がブラック企業が堂々とのさばる日本社会を象徴している気もしてしまう。 

 さらに公立学校の先生は公務員なので「公務員のくせに甘えるな」という意識もこの種の意見の底にはあるのだろう。教員は免許を取得して仕事をする点で、医師や看護師などの免許制職業に似ていると思う。(医師になる難易度との違いはあるが)そこで冒頭の言葉を次のように変換してみたらどうだろう。例えば公立病院の医師や看護師に対して 

 

 「診察後に患者が運動する際は、無給で指導を行うのは当然だ。」

 「患者が出場するスポーツ大会があるから休日返上で付き添って指導しろ」

 「市立・県立病院の医師は公務員なんだから、勤務時間に関係なく診察しろ」

 

 という要求は通用するのだろうか?

 

 診察は医師が、その他の補助は看護師が、リハビリテーションは理学・作業療法師が、と仕事の中身が専門で分かれているのが普通である。時間外の診療はそれなりの特殊な事例に限られるはずだ。

 しかし私たちは「教師だから」という理由だけで専門外のスポーツ指導を、勤務時間外も休日も実質的に強要されている。

 

 「休日も診療しろ。報酬10分の1で」なんてことを医師に要求できる人がいるのか。しかし、多くの教師はほぼ無給に等しい「手当」で休日も部活動指導をしている。

 

 部活動の指導には特別の手当てが出る、生徒が優秀な成績を収めるとボーナスが出る、と思い込んでいる人も多くて驚く。「教員は部活費で稼いでいる」なんてデマをネットの書き込みで見たこともある。

 実際、私が接してきた生徒の多くもそのように思っていたようだ。私立校はいざ知らず、公立校ではそんなことはない。公務員なんだから決まった勤務時間に対する決まった給料しか出ない。当たり前だ。

 

 誰も「無報酬、無休暇で働け」と他者に強要することはできないはずだ。そのような要求は奴隷的搾取と言うのだ。

 時々そんな民間企業が問題になっているが、その企業が批判されるのが普通だ。批判の矛先が従業員に向かうことはない。しかし、これが教員となるとなぜか教員側を批判する人が増える。

 まあ「贅沢言わずに我慢して働けよ」という主張なのだろうが、部活動で疲弊した先生たちの質の低い授業は、その学校に通う生徒たちに確実に負の影響を与える。

 

 誰にどんなメリットがあってやっている取り組みなのか。デメリットと比較してそのメリットはどれだけ重要なのか。

 

 学校現場は経済感覚で測ることができないことが多いが

 部活動が引き起こしているデメリットは大々的な検証の必要性がある。