「部活問題」を考える

「部活問題」「ブラック部活」を中心に、現役高校教師Kが学校現場の問題点を考えていくブログです。

部活動に参加しない(できない)生徒からも「収奪」される「生徒会費」の問題点

*日本全国、全ての学校に当てはまる事例ではないことをご理解いただきお読みください*

 

私が勤務してきた学校では全て、

生徒からの徴収金の費目の一つに

「生徒会費」というものがある。

 

文字通り生徒会を運営していくためのものである。

文化祭や体育祭など生徒会主催の行事ごとの予算に充てる。

 

私の勤務校では一年間で一人当たり7000円を徴収する。

生徒数900人なので、総予算630万円だ。かなりの金額である。

文化祭や体育祭などを行うのに数百万円ものお金をかけるのだろうか?

もちろん違う。

 

この生徒会費は、実は全額「生徒会の活動」に使われるわけではない。

その大半は生徒会の下部組織にあたる

「部活動」の活動費に充てられる

 

私が勤務してきた学校では、

生徒会費の90%が「部活動費」として

各部活動の消耗品などを購入するのに使われている。

また、上級大会(県大会やブロック大会)へ出場が決まった際には選手の移動費や宿泊費の補助として支出される。

 

これが問題である、と私は訴えたい。

ネット上でも、問題視する意見が増えつつあるようだ。

 

何が問題かというと、

「部活動に参加しない(できない)生徒が

 部活動をする生徒を金銭的に支えさせられている」からだ。

生徒会費を支払いならがも、その恩恵に預かれない生徒が

少なからずいるのだ。

 

このような意見を言うと、部活動大好きな人たちは

帰宅部なんかしてないで部活動をすればいい」

と言う人がいる。

 

虚しくなるくらいの想像力の無さである。

 

まず、高校生の学習外活動は学校の部活動だけではない。

日本舞踊やバレエ、ピアノなど学校の部活動では行っていないような

活動に取り組んでいる生徒もいる。

学校の部活動だけが生徒の居場所ではないのだ。

 

学校外の活動に熱心に取り組んでいる生徒は

あまりその様子を正当に評価されないという現実があるが

それはまた別の機会に話題としたい。

 

さらに深刻な問題は、

部活動に参加しない生徒の中には、経済的事情で部活動に打ち込めない生徒もいることだ。

やりたい部活動があっても、お金がなくて

参加を断念している生徒がいるのだ。

そしてそんな生徒の中には、家計の足しになればと

アルバイトに取り組まざるをえない生徒もいる。

 

そんな生徒からも徴収した「生徒会費」が

部活動に参加している生徒の活動を支えているのだ。

部活動生は自分が部活動に参加しているのだから、

元が取れる取れないは別としても、

支払った生徒会費の恩恵は受けられる。

 

しかし「部活動に参加していない」生徒は年間6000円あまりを収めているのにその恩恵を受けることはほとんどない。

 

部活動が実績を上げれば学校の名も上がり、

学校への帰属意識も高まり、母校への愛着も湧くだろうが、

支払った金額に対してあまりに可能性の小さい見返りである。

 

「部活動に(参加したくても)参加していない生徒」が「部活動に参加する余裕がある生徒の活動、移動費、宿泊費」の一部を負担しているという事実。

 

 

「生徒会費」といういかにも「生徒全体のために使っていますよ」という

名目でお金を徴収しているのに、部活動をしている生徒のためにのみ

使われるという「不公平な使途」と言われてもおかしくはないだろう。

 

「部活動で実績を出しているのだ、学校から補助をもらうのは当然だ」

と言う人もいるだろう。私もインターハイ監督だった時代はそう思っていた。

しかし、家庭のために時給七百円で働いている生徒から

「本当は部活したかったんですけどね。ほら、スポーツってお金かかるじゃないですか。だから部活は諦めてアルバイトすることにしました。」

と言われた時に衝撃を受けた。

 

「この生徒が10時間働いて稼いだお金が俺のチームを支えているのか」

 

「部活動費の補助は当たり前」

「恩恵を受けたいなら部活すればいいじゃん」

という意見を持っている方はぜひ、そんな生徒もいるのだ

と想像力を働かせてもらいたい。

 

 

PTA総会などでは「生徒会費」の細目までは資料に載らないし、

「生徒会に使われるのだな」と保護者の皆様も思うのであまり問題になることはない。

 

このブログをお読みの、中高生のお子さんを持つ保護者の方にお願いしたい。

PTA総会には必ず参加していただきたい。

そしてPTA総会資料をよく見てもらいたい。

会計報告が必ず載っているはずだ。

 

「生徒会費」とだけ書いてあるなら要注意である。

大切なのはその中身である。

その細目まで書いてある学校なら「正直」であると言える。

もし書いていないなら、ぜひ「生徒会費の細目を教えて欲しい」と

学校に訴えていただきたい。

きっとその大半が部活動の補助に使われているはずだ。

 

その上で、

「部活動に参加したくても参加できない生徒もいるのだが

 全員が強制的に徴収されなければならない理由は何か」

と質問してもらいたい。

 

きっと部活動にまつわる悪習を正すのに

有効な一撃となるだろう。

 

私も学校の一職員としてこの「生徒会費」問題には

微力を尽くしてまいりたい。