「部活問題」を考える

「部活問題」「ブラック部活」を中心に、現役高校教師Kが学校現場の問題点を考えていくブログです。

私が文科省の提案から導き出した結論。「(不本意な)部活動指導は絶対に拒否するべき」

少し古い記事で恐縮だが、

こんなことが昨年あった。

 

blogos.com

 

「部活動顧問をする・しないの選択権をください!」という

署名活動に文科省が出した答えが

「土日の部活動手当を2割増しするってことでOK?」

というものだった件である。

 

ブラック部活問題に関心のある人にとって

この文科省の反応のバカバカしさは

文科省お得意の「思考・判断・表現」のいずれも

落第点と言える噴飯ものの答えだったはずだ。

 

「いやいや!そっちじゃねえから!」

と日本中の志ある教師が思わずツッコミを入れたことだろう。

 

⚪️⚪️り先を確保するのに忙しくて

日本の教育を考える暇はないのだから

許してあげてください。

 

さて嫌味を言っていても前に進めないので少し

冷静に考えてみたら恐ろしくも面白いことに

気づいたので書いてみたい。

 

 「何故、部活の顧問をするしないの選択権を与える、のではなく、

 部活動手当を上げるという回答になったのか?」

という疑問から「思考・判断・表現」してみることにする。

 

多くの人(教師)は

「教員に選択権を与えたら部活動制度が崩壊するから

 手当を増額することでお茶を濁したのだろう。」

と思ったことだろう。

 

確かに「選択権を与える」と文科が言えば、

多くの教員が「部顧問しません」と言うであろうから

学校現場は大混乱になることは間違いないので

「お茶を濁した」説は理由の一つであることは間違いない。

 

しかし、いくらなんでも

「選択権をくれ」→「600円上乗せするね」という

解決策はいくら文科省天⚪️⚪️先確保に忙しいとはいえ、

あまりにとんちんかんである。

そこで、お茶を濁そうとしたのではなく

本気の回答であると仮定して、この文科の提案から

私たち教員は何を学びとるべきか考えてみた。

 

まずここで文科省にとっての部活動の位置付けを

中学校学習指導要領から抜粋してみる。

 

<引用>

第1章 総則 第4の2 (13)

  • 生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については,スポーツや文化及び科学等に親しませ,学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等に資するものであり,学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際,地域や学校の実態に応じ,地域の人々の協力,社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行うようにすること。

<引用ここまで>

 

これを元に文科の意図を推測してみたい。

まず部活動とは、文科にとって

「生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動」

なのである。

これ以上でも以下でもない。ここが最も重要である。

 

なぜ文科が

「部活の顧問をするしないの選択権を下さい」

に明確な回答をしなかったのか、

その答えがここにある。

私が導き出した答えは・・・

「すでに教員には部活の顧問をするしないの選択権は与えてある、と文科は考えているから」である。

 

「はあ?何言ってんだお前?

 どの学校も毎年部活顧問を強制されてんだろ!」

と思われたでしょうが

もう少しお付き合いください。

 

「生徒の自主的、自発的な参加によって行われる部活動」を

部活動と規定しているわけなので、

私たち教師が部顧問になって

部活動の指導をしているのも

「各教員は自主的に部顧問している」

という理屈なのである。

これではわかりにくいので学習指導要領の言葉を使って言い換えると

文科にとって、教員が部活の顧問をやっているのはあくまで

「教員の自主的・自発的な参加によって行われる部活動指導・部顧問就任」

ということなのではないか。

 

文科が「選択権を下さい」に明確な答えを出さなかったのは

「そもそもあなた方は自発的に部活動の顧問をやっているはずです。

 部活の顧問をする・しないという選択権を与えられた上で

 部活の顧問と指導を行っているんですよね?」

というスタンスだから、と私は考えた。

 

だから文科は「する・しないの選択権を下さい」に

明確な回答をしなかったのだ。

「選択権は与えてある(ことにしてある)はずなのに、あなた方は何言っているの?」

と言い逃れたいのであろう。

 

「選択権を与える」と言えば

「教員に部活顧問を強制している」

サービス残業を強制している」

という事実を認めるとともに

部顧問就任を拒否する教員が続出し

学校現場が大混乱する。

 

かと言って「選択権は与えない」と言えば

「教員に部活顧問を強制する」

ことになり、どうあがいても

労基法違反は免れず、国家規模の

労働問題・労務問題に発展する可能性が大きい。

文科としてはそれは避けたいはずだ。

 

文科省は「選択権を与えるとも、与えないとも言えない」事情にある。

だから文科省はあくまで部活動の指導や部顧問就任は

「教員が自発的にやっていること」にしておきたいのだ。

でもそれを明言すると、「部顧問を強制されている」教員から

猛反発されるから明言を避けたのだ。

 

「そもそも教員は自主的に部顧問をやっている。

 だから部活動の顧問・指導が強制されている

 なんて問題は存在しない」

 ということにしておきたい文科の思惑

  がこの回答には込められているのではないか。

 

よって、「選択権を下さい!」の署名運動に対しての文科の反応は

 

「生徒と先生が自主的に行っていることなので

 選択権云々の議論は的外れですから回答は差し控えますね。

 そう言えば土日の指導手当は4時間あたり3000円ですが

 地域によっては最低賃金を下回るので値上げしときますね。

 あっ、文科省は4時間を超えて指導してくれなんて一言も言ってませんからね。

 まあ先生方と生徒たちが自主的に部活動を丸一日するのは構いませんけど。」

 

という主旨である、と私は読み解いた。

 

この説を裏付けるのが

以前引用したこの悲しい記事である。


www.asahi.com

 

市教委は、大瀬中が26日に出した調査報告書で「ランニング中に水分をとらせなかった」「通常は30分間なのに、5分長く走らせた」指導について不適切と判断したという。

 

「(顧問の)指導が不適切」であったなら

暑い時期に運動させている部活動そのものの問題や

適切な資格を持つ人物に指導をさせていたのかという問題、

を私は指摘したが、それはおそらく文科やこの市教委にとっては的外れな指摘である。

 

この市教委にとっては

「自ら自発的に顧問に就任した教諭が、

 自発的に指導した結果このような事故が起きた」

のだから「不適切な指導であった」と断じたのだ。

 

部活動で不慮の事故などが起きると

部活動そのもののシステムが問われることがなく

部顧問の指導が不適切で会った、という結論に至るのは

このようなロジックによるものなのだ。

 

「教員がやりたくて勝手にやっている」のが

教育行政が考える部活顧問・部活指導なのである。

 

よって

・毎日数時間も勤務時間外に専門でもない部活動の指導をしている。

・土日も休みなく丸一日部活動に付き合わないといけない。

・やりたくもない、やったこともない競技の顧問をする

という問題は、文科にとっては全てが

「教員が自主的に『やります!』と言ってやっていること」

という建前なのだ。むしろ

「やりたくて部顧問をやっているんだから、

 自己管理できていないだけでしょ?」

 と思っているに違いないのだ。

 

ここから私が導き出した結論は

「やりたくない部活動顧問への就任は絶対に拒否するべき」

ということである。

 

・長時間部活動指導に拘束されて本務に支障が出る。

・長時間部活動指導に拘束されて心身に不調をきたす。

・専門外の競技を指導して不慮の事故が起きる。

・専門外の競技を指導して生徒とトラブルになる。

 

などなど部活にまつわる全ての問題が

「あなたが顧問をしたくてやったことでしょう」

などと『あなたの自己責任である』

と断じられる可能性があるからである。

 

文科にとって

「全員顧問制」や

「勤務時間外の部活動指導」は

「現場の暴走」以外の何物でもないのだ。

 

「みんな部顧問をやっているから君もやれ」

「土日も返上して部活動してこそ一人前の教師」

「教師だから未経験の競技でも部活動指導せよ」

とあなたに迫る管理職や教員がいたら

それは「その人が暴走して勝手に言っているだけ」

である可能性を頭に入れておこう。

 

文科省も教委も私たちの後ろ盾にはなってくれない。

「あなたが自主的にやったことでしょ」

と言われる可能性大である。

 

全ての責任は私たち現場の教員へとしわ寄せされるように作り上げられてしまったのがこの「部活動」システムなのである。

 

よって、私たちははっきりと意思表示をしなければいけない。

先のエントリーに書いたことを加除訂正して再度提案しておきたい。

 

部活動顧問就任に関しては

 1 できること、できないことを明確に管理職に伝える。

 2 1を必ず記録に残して管理職に伝える。

 3 コピー・記録を取っておく

 

がまず必須である。

部顧問希望調査に付け加えておくべきメモとしては、

 

・「土日や勤務時間外に練習に付き添うことができないので、

  事故などが起きるかもしれない。

  土日に練習をする必要のある部活の顧問はできない。」

 

・「自分はその競技・分野の指導はできないので

  怪我や事故などが起きるかもしれません。

  その際の責任は誰が負うのですか?」

 

・「自分はその競技・分野の指導はできないので

  生徒や保護者から不満が出るかもしれません。

  その際はどうすれば良いですか?」

  

  等々、十分ありそうなトラブルの可能性を具体的に

  管理職に考えさせるような質問をする。

  もしくは希望調査に書いておく。

 

・それでも半強制的に顧問にさせられそうなら

 →「責任が持てないので、勤務時間外と土日の部活動は休止にしますが

   よろしいですね?」と管理職の「許可」を得たことにしておく。

   もちろんその言質を得た日付を記録しておく。

   管理職の目の前でメモを取ると良い。

   

 →「それは職務命令ですか?」と尋ねて、

   部顧問を職務命令されたことにしておく。

   もちろんその言質を得た日付を目の前で記録しておく。

   (まあ部顧問を職務命令はできないだろうけど) 

 

部活動顧問への就任依頼は労使交渉だと思いましょう。

よって、生徒指導対応などでよくやるように

管理職とのやりとりは記憶が新しいうちにメモっておきましょう。

後々、記録をきちんと取っている方が絶対に有利になります。

 

「こいつ面倒臭いな」と思われるくらいが良いです。

「部活動は何でも頼めるぞ」と思われたら

自分の人生や大事な人の人生を喰い物にされます。

相手は「暴走」しているのです。

まともに取り合う必要も、本来はないはずです。

 

 気にすることはありません。

 学級経営、生徒指導そして教科指導など

 本来学校がきちんとやるべき仕事をきちんとやるべきなのです。

 

気にすることでも恥ずべきことでもありません。

土日や勤務時間外に指導する必要のある部活動への

顧問就任強制は「その人が暴走して勝手にやっていること」です。

そんな暴走に付き合って、望まない競技の顧問になっても

何かあったら責任を問われるのは私たちです。

望んでいない部活動なら、はっきり断りましょう。

 

来年度の校務分掌が動き始めるこの時期、

行動するのは今しかありません。

 

次回は

「学習指導要領に全力でツッコミを入れる」というタイトルで部活問題を訴えたいと思っています。